はじめに
注射といえば病院!薬局でも取り扱っている所がないわけではないですが、病院は圧倒的に数が多いです。ところで、注射の調剤って言われたらどういうのが思い浮かびますか?病院薬剤師であれば、「あれやこれして、そして・・・」となるかもしれませんが、そうでない方だと、あまりイメージが湧かないのではないでしょうか?そこでまずは注射の基本である調剤と監査から説明していきます!ちなみにこれも、私の病院では、働き始めて1か月ほどで一通りできるようになりました。
注射の調剤
やることは飲み薬の計数調剤と変わりません!処方箋を見ながら、正しい薬を正しい数集めます。この時も、機械を使って集めるため、数を間違うことはあっても、薬そのものを間違うことはほとんどありません。また、この時点で、疑義照会の必要があると判断できれば、早めに処方した先生に問い合わせることもあります。
注射の監査
責任の重さなどは注射以外の監査と同じですが、注射ならではのチェックする項目があります。注射の監査で見ていくのは、次のような項目です。
・患者さんの名前
これは注射以外の監査と同じです。揃え済みの注射につけてある、ラベルと処方箋に記載された患者さんの名前が間違っていないかを確認していきます。
・注射薬や数が間違っていないか
これも、他の監査と同じですね。処方箋通りに薬を集めているかというのをチェックすることになります。
・1回量や、投与回数が間違っていないか
他の監査でも確認することですね。注射薬でも、1回でどの程度の量投与するか、1日で何回使用するのかが決められています。明らかにこの量や回数と異なる処方がされている場合は、医師に確認しなければなりません。
・投与ルート
飲み薬なのか、貼り薬なのか、坐薬なのかというのと同じで、静注か筋注か皮下注かなど、どこから薬を注射するのかを確認します。例えば、静脈からしか注射できない薬が筋肉注射となっていたら、処方した医師への疑義照会が必要です。ただし、絶対に添付文書通りのルートでしか使えないという訳ではなく、添付文書には記載がないものの、皮下投与が可能な薬というのもあります。血管の確保が難しい方などでは、静脈で投与することが難しいため、あえて皮下投与としている場合があります。そういったときに間違って疑義照会をしてしまわないように注意が必要です。
・投与速度
これは、注射ならではのチェック項目ですね。一部の薬では、効果をしっかり出すためや副作用を予防するためなどの理由で、投与速度がある程度決まっていたり、ガイドラインで推奨される時間があったりします。そういった薬の場合、処方箋に書かれた投与速度を確認し、添付文書やガイドラインで推奨されている速度から明らかに外れていたら、医師への確認をしなければなりません。見落とすと効果がいまいちだったり、患者さんに副作用が出たりするため、注意が必要です。
・溶解液の有無や量、種類
薬自体が粉の場合、何かに溶かさないと注射をすることができませんよね?液体の注射でも、希釈して使ってくださいと添付文書で決められている薬があります。そういった薬を処方するときに、薬を溶かすまたは希釈するための溶解液がついていないと、疑義照会が必要です。また、「〇mLの生理食塩液で希釈」とか、「ブドウ糖で希釈する」のように何を使って溶かすかやその量が指定されている薬があります。特に、種類を間違ってしまうと、注射薬を溶かした時に沈殿ができたりする原因となりますので、処方した医師へそのことを伝え、別の溶解液に変えてもらう必要があります。
・検査値
腎機能は問題ないか、ナトリウムやカリウムなどの電解質は?など、他の監査と同じく確認する必要があります。腎機能が悪いのに薬の量が多い、ナトリウムが高いのにナトリウムが入っている量が多い輸液を処方しているなどのときには、処方した医師に量を減らしたり、他の薬に変更できるかを聞く必要があります。
まとめ
注射にかかわる仕事はなかなかイメージしづらいのではないでしょうか。注射の業務に関してより学ぶことが出来るのは、やはり病院だと思っています。「注射薬に関してもしっかり学びたい、経験を積みたい!」という方は、ぜひ病院薬剤師を目指してください!
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