多職種連携①-チーム活動-

病院薬剤師の仕事

はじめに

 将来病院で働くことを考えている学生の中には、「多職種連携に興味があるから」という方もいるのではないでしょうか。病院はいろいろな職種が集まっているからこそ、多職種で構成されるチームが複数活動しています。私の病院でも、感染対策チームや緩和ケアチーム、栄養サポートチームなどが存在し、患者さんのよりよい治療のために活動しています。今回はそのチーム活動についてを紹介していきたいと思います。

私が病院を志望した理由の一つが、チーム医療に興味があったこと!

実際に活動に参加すると、得られるものがたくさんあるよ!!

感染対策チーム

 比較的どの病院でもある、メジャーなチームかと思います。免疫が低下している患者さんも多く、いろいろな感染症に対応する必要があること、仕事をする中で職員自身が感染してしまうことを、できるだけ予防する必要があること等の理由で活動しています。

各病棟のラウンド
 清潔なエリアとそうでないエリアが分けられているか、感染性廃棄物の扱いは適切か等を病棟を回りながら確認していきます。
研修会の開催
 適切な個人防護具の着脱や手指消毒法、感染経路別の予防策等を知ってもらうため、チーム所属の職員が定期的に研修会で説明をしています。
他の病院との意見交換
 チーム所属の職員が他の病院を訪問して感染対策を評価したり、逆に他の病院から来院してこちらの病院の評価をしたりしながら、お互いの病院の感染対策を高めていきます。また、どこを改善したらよいか、今後はどういった対策が必要か等の意見交換も定期的に行われているようです。

緩和ケアチーム

 がんの患者さんが入院することが多い病院や緩和ケアが必要と思われるがん患者さんを対象とする病棟がある病院で、緩和ケアチームが活動していることが多いです。

痛みのコントロールの評価
 がん患者さんの多くが、大小痛みを抱えていて、薬で痛みを和らげていることが多いです。本人が困らない程度まで痛みが抑えられていれば問題ありませんが、薬の量が足りない、今の薬があっていないなどの理由で効果が不十分であり、強い痛みが出ていることがあります。緩和ケアチームがそういった患者さんの痛みを評価し、主治医や病棟看護師、病棟薬剤師と相談することで痛みに対して使用している薬を調整したりします。
鎮痛薬による副作用出現有無の確認
 鎮痛薬にはいくつか種類はありますが、がん患者さんに使用される鎮痛薬の代表的なものに麻薬性の鎮痛薬があります。その代表的な副作用は吐き気や便秘、眠気などです。吐き気や眠気は徐々に改善されることがありますが、患者さんによっては副作用が強く、つらいものとなることもあります。また、眠気が強いと呼吸抑制などにつながる可能性もあります。便秘の副作用に関しても、自覚症状があまりないが排便頻度が減りましたといった方から、おなかが張る・苦しいなどの自覚症状が強い方まで様々います。せっかく痛みを和らげているのに、他の症状でQOLが下がってしまってはあまり意味がありません。緩和ケアチームはそういった患者さんの副作用についても介入し、より快適に過ごしてもらうための方法を考えていきます。

骨粗鬆症チーム

 整形外科医師や薬剤師、看護師、リハビリスタッフなどで構成され、骨折で入院された患者さんの骨密度を測定し、骨粗鬆症治療が必要か、何の薬を使うか等を検討しています。

骨粗鬆症治療の検討
 転倒して骨折をし、手術のために入院するといった方や、腰痛が強くなり、検査をしたら圧迫骨折をしていたといった方が入院してきたとき、骨粗鬆症の疑いがあるため骨密度の検査をします。その結果やこれまでの骨折歴、その他の既往歴や退院後の環境などを考慮して、骨粗鬆症治療ガイドラインも参考にしつつ、OLSチームが骨粗鬆症治療薬を検討します。とくに骨粗鬆症が重症かどうかや心疾患の既往、内服薬にしても注射薬にしても継続が出来そうかどうかなどは判断の際に重要になってくるようです。
骨粗鬆症に関する説明
 骨粗鬆症とはどのような病気か、骨密度の結果、今回候補となる治療薬、継続に当たってどのぐらい定期的な通院が可能かなど、骨粗鬆症治療を開始・継続していくにあたって必要となり得ることを本人や家族に説明しています。そのうえで、治療に関して納得・同意が得られれば実際に治療開始となります。

まとめ

 上記で記載したチーム以外にも、いくつかのチームが活動しています。病院によっても活動しているチームが異なっており、NSTや心不全チーム、リエゾンチームなどが積極的に活動している病院もあります。チームでの活動は他の職種から学ぶことも多く、非常に良い経験となります。もし薬学生の中で、この分野に興味がある!というのがある方は、就活や見学の際に、その分野に関連するチームが活動している病院かというのも聞いてみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました