疑義照会とは
処方箋の中に疑問点や不明点があるとき、薬剤師が医師にその内容について確認することを疑義照会といいます。これは薬剤師として必要な仕事であり、薬剤師法の中にも、「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない」と記載されています。この疑義照会には、処方箋の記載の仕方が間違っていないかなどの形式的疑義照会と、この患者さんにこの薬を使用することや量は問題ないかなどの薬学的疑義照会の2つがあります。
実習で少しだけ経験があるという方もいるかもしれませんが、薬剤師として働いたことがないと、実際に疑義照会ってどんなことするの?と思う方も多いのではないでしょうか。調剤室では主に処方箋から分かる疑義照会を、病棟では患者さんの様子を踏まえた疑義照会をすることが多いです。まずは、調剤室で主に行われる疑義照会の内容について説明したいと思います。意外と内容が多かったので、①形式的疑義照会、②薬学的疑義照会に分けて説明したいと思います!
疑義照会ってやったことないとイメージしづらいよね・・・
病院で働いていると、毎日誰かが疑義照会するぐらいには普通にしているよ!
形式的疑義照会
処方箋の記載の仕方が間違っている、本来記載すべきものが記載されていない、日数に制限がある薬剤がそれを超えて処方されているなどの疑義照会が、形式的な疑義照会に当たります。例としては、以下のようなものがあります。
・飲む期間が数日重なっている
1月1日~ A薬、B薬 7日分
1月3日~ A薬、B薬 7日分
例えば、上記のようなときです。全く同じ内容の薬が、1/3~1/7までの5日間重なっていることになりますね。薬の量を増やすために、あえて重ねて出していることもありますが、処方箋の日付を間違えてカルテに入力したということも多いです。看護師さんからしたら、あえて重ねているのか、間違えたのかが紛らわしいですよね?意図せず同じ薬を2つ飲ませてしまうことにもつながりかねません。私の病院では、同じ薬で日付が重なっているときは、処方箋を出すときにそれを知らせてくれる機能があります。そのため、調剤で日付が数日重複していることに気づいた場合、カルテを確認したうえで間違いが疑われる時には疑義照会をするようにしています。薬局での残薬調整に近いところがあるかもしれません。
・毎日飲む薬ではないのに他の毎日飲む薬と同じ日数処方されている
A薬 1日1回 朝食後 7日分
B薬 1日1回 夕食後 7日分
C薬 週1回月曜日 朝食後 7日分
例えば、上記のようなときです。毎日飲む薬が7日分に対して、週1回飲む薬が7日分だと7週分(49日分)になってしまいます。週1回飲む薬は普通は1日分でいいはずです。こういった時に疑義照会が必要です。ちょっとした間違いの様に見えますが、医師が週1回飲む薬を毎日飲むように指示を出した結果、重い副作用につながったという例が過去にはあります。たとえ薬の説明書や袋に週1回と書いてあっても、他の薬と同じ日数で処方されていたら、看護師さんや患者さんが間違わないとは言い切れないのです。命にかかわる可能性もあるため、疑義照会は絶対に必要です。また、処方箋には週1回であることが記載されておらず、他の薬と同じ日数で処方されていた場合も、添付文書上の用法で行くと毎日飲むことはないはずなので、薬学的な疑義照会として医師への確認が必要です。
・処方日数に制限がある薬剤がその日数を超えて処方されている
外来診療をしていてかつ院内調剤ですという病院では、この疑義照会は時々あるのではないでしょうか。薬局でも度々あるという話を聞きます。薬価収載して1年以内の薬は14日分、睡眠薬の一部は30日分などのように、特別な事情がない限りは〇日分までしか処方できませんという薬があります。その日数を超えている場合、処方した医師に日数制限がある薬剤であることや、現在の処方ではその日数を超えていることを伝えなければいけません。
まとめ
今回、調剤室での疑義照会の中で、形式的疑義照会の例について説明しました。「日数を少し間違っただけ・・・」と思っても、それで実際に重い副作用につながった例があります。形式的疑義照会も非常に重要な薬剤師の仕事ですので、見落としがないよう気を付けたいですね!手書き処方箋の場合には、上記以外にも、薬の名前が少し間違っているとか、規格(〇mgのような薬の量のこと)が記載されていないというのも疑義照会の対象となります。普段電子カルテの病院でも、停電のときや災害時などの緊急時には手書き処方箋で調剤するため、いつもとは違う注意が必要です。
イメージしにくい疑義照会ですが、少しでも知っていただけたら幸いです!次回は薬学的疑義照会について説明します。
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