病院の調剤室ってなにするの?①

病院薬剤師の仕事

病院の調剤室って?

 病院薬剤師も最初は調剤室からのスタートです。入院患者さんの薬は数日分ごとに処方されるため、毎日数多くの処方箋がやってきます。触れる薬の種類もかなり多いです。「幅広い診療科の薬の知識を深めたい!」という薬学生には、やはり病院薬剤師がおすすめです。


 調剤室での仕事と言っても、計数調剤分包散剤水剤、監査と複数あります。その一つ一つのやり方、薬局でのルールを教わり、身につけることが薬剤師として必要です。今回は、それらの仕事内容についてを紹介します。
 私の記憶では、監査以外は1か月もかからず一通りできるようになりました。監査は「最終責任者」となるため、他の仕事と比べると責任が重い立場です。そのため、しっかりできるようになるにはもう少し時間がかかりました。監査についてはまた別の記事で説明することとします。

病院の中の薬局って、外から見えにくいから、

普段何をしているかわかりづらいよね・・・

計数調剤

 処方箋に記載された薬を必要な数揃えることを計数調剤といいます。私が学生の頃、実習をした調剤薬局では、計数調剤で薬や数が間違っていないかは人の目だけで確認していました。しかし、私が働いている病院では、機械を使用して計数調剤をします。自分一人でする場合と比べると、安心感があります。もし間違った薬を取ると、音で教えてくれる仕組みになっているため、実際に間違った薬を取った時は結構恥ずかしいです💦
 働き始めた頃の計数調剤で大変だったのが、「薬の場所がわからない」ことです。機械には棚の場所も表示されますが、それを見ながらでも慣れた先輩と比べると時間がかかっていました。今ではおおよその薬の場所を把握できているため、機械に表示される場所を見なくても薬を集められることが多いですが、薬の場所をある程度覚えるのに半月ぐらいはかかった気がします・・・。
 また、計数調剤のときに自分が知らない薬を添付文書(電子添文)等で確認することで、薬の知識がどんどん頭に入ってきます。病院はこの数が多いので、必然的に学ぶ薬の量も多くなります

分包

 薬は通常、10錠や12錠毎に、アルミシートに入っています(10、12錠以外の数のこともあります)。このアルミシートから薬を出して、朝食後や昼食後など、飲み方毎にまとめることを一包化といいます。分包とは、この一包化を機械を使って行うことです。分包は、0.5錠で薬を飲んでいる患者さんや、特に高齢の患者さんなどで複数の薬を飲んでいる場合にすることが多いです。

 私の病院でも、薬を分包で準備することは多いですが、この仕事が結構大変だったりします。私の病院の分包機には、「カセット」が数多くあります。このカセットの中には、あらかじめシートから出された薬がセットしてあります。一方で、このカセットがない薬もいくつかあります。そういった薬では、分包のときには自分でアルミシートから出さないといけません。この数が多いと、それだけ時間がかかってしまいます。また、シートが固いと力が必要なため、たくさんの薬を必死で分包していると、指が痛くなることも良くあります。ただ、慣れてくると効率よく分包できるようになるので、そういった大変さは少なくなってきます。

散剤

 粉薬を測り、1回分毎に袋に小分けするのが散剤の仕事です。小分けするのは機械の役目ですので、粉薬の全体量を測って機械にセットするところまでを薬剤師がします。私が働いている病院で、散剤を調剤するときに特に大変なのは、次の2つです。

①錠剤の薬をつぶす(粉砕する)
②賦形剤を添加する

 患者さんの中には、薬をそのまま口から飲むことが出来ず、つぶしてぬるま湯や水に溶かして飲んでいる方がいます(これがいわゆる簡易懸濁です)。かたい、詰まりやすいなどの理由から、機械で粉砕したほうがよい薬があり、その粉砕を薬剤師がしています。この粉砕には、結構時間がかかります。さらに、そういった薬の多くは、1回量が少ないため、「かさ増し」してあげないと機械で均一に1回分毎に分けることが難しいです。乳糖などの賦形剤と薬を混ぜ合わせることによって、機械が均一に分けれるようにしています。この混ぜ合わせるというのも、少し手間がかかるんです・・・。1回の処方で複数の粉砕する薬剤がある場合、30分~1時間かかることもあり、大変です。

水剤

 子供のころ飲んだアレルギーの薬などで、シロップの薬を飲んだ記憶がある方もいるのではないでしょうか。そのシロップの薬を測って専用のボトルに入れるのが水剤の調剤です。薬学生が実習に行くために受ける実技試験(OSCE)では、処方箋を見て合計何mLの水剤を測らないといけないのか計算が必要でしたが、私の病院では測るシロップの全量がすでに処方箋に記載してあるため、計算したことは一度もありません。そういった理由から、特別大変な思いをした経験は今の所ありません。
 ただし、働き始めて驚いたことがあります。水剤の中でも「甘い薬には、アリが来る」ことがあるようなんです。もし甘い水剤を飲んでいますという方は、アリが来るのを防ぐために、冷蔵庫保管の方がよいかもしれません。念のため一度かかりつけの薬剤師に聞いてみてください(私の病院にある甘い水剤は、全て開封後冷蔵庫保管できますが、もしかしたら冷所は×っていうものがないとも言えないので)。

まとめ

 今回は監査以外の調剤業務について簡単に説明しました。病院薬剤師も調剤は基本の仕事です。薬局では、散剤が少ないとか、分包が多いとか、門前の病院の診療科次第で偏りがあるという話を聞きます。しかし、複数の診療科がある病院では、どの仕事も一定数学ぶことが出来ます。また、機械を積極的に取り入れているのも病院が多い印象です。
「調剤についても幅広く学びたい」
「いろいろな薬の知識を身に着けたい」
「機械を積極的に取り入れてミスの防止に努めている所がいい」
という薬学生の方には、病院薬剤師がおすすめです。ぜひ見学などで話を聞いてみてください。

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