病院の調剤室って何するの?②

病院薬剤師の仕事

監査ってなに?

 以前の記事で、調剤や分包、水剤、散剤について取り上げました。今回は、監査についてです!薬剤師が行う監査は、簡単に言えば「最終チェック」のことです。処方箋と準備している薬に間違いがないか、数はあっているか、子供に使えない薬が出ていないか、使い方が間違っていないかなど、必要な部分を確認し、問題なければ印鑑を押して薬をお渡しします。ここで間違いに気づかなければ、そのまま薬が患者さんにわたる可能性が高いです。その間違いによって、万が一患者さんに健康被害が出たとなれば、関わった薬剤師の中で、責任が一番重いのは”監査の印鑑を押した薬剤師”です。例え処方した医師の間違いだったとしても、薬剤師であれば気づけるだろう!という間違いであれば、監査した薬剤師も責任を問われる可能性があります。
 そんな責任重大な監査は、病院薬剤師、薬局薬剤師ともに普通にできなければなりません。カルテが見れる分、病院の方が確認事項は多いイメージがあります(あくまで私見です)。私は働き始めて半月~1か月ぐらいで監査を始めましたが、しばらくは毎回緊張していました。では、監査ではどういったことを確認するのか?これから説明したいと思います。

監査は最終責任者!

間違えないようにいつも必死にチェックしています💦

監査で確認することは?

 監査のときには主に次のような内容を確認しています。

処方箋、薬情、薬袋、お薬手帳シールの氏名が間違っていないか
 薬情や薬袋、手帳シールなどを数人一緒に準備しているとき、違う人のが紛れ込んでしまうことがあります。これらはすべて個人情報!違う患者さんの氏名やお薬が書かれた薬情や薬袋を渡したら大問題です。信用もなくなりますよね?監査では、絶対にチェックすべき部分です。

年齢
 特に小児は要注意です!〇歳未満は使用できませんといった薬や、大人とは量が違う薬がたくさんあります。監査している処方箋が小児のものだったら、その年齢の子に使用できるか、量は間違いないかなどチェックをしなければなりません。自信がない薬は必ず調べるようにしています。

性別
 例えば、過敏性腸症候群で使用するイリボーは男性と女性で初回投与量や最高投与量が異なります。他にも、ハルナールなどの排尿障害の薬の一部は男性にしか使用しません。これについては、添付文書の効能又は効果の部分を見ていただければわかるかと思います。性別によって用量が変わったり、通常は処方されない薬も存在するということです。全ての薬で確認が必要なわけではないですが、一部の薬では必ずチェックしないといけない項目です。

処方箋の薬の量、飲み方、日数
 どの薬にも、目安となる1回量・1日量があります。また、食後なのか食前なのかなど、いつ飲むのかがある程度決まっている薬があります。それらとは明らかに違う内容で処方箋が記載されており、医師の意図が不明な場合は間違いではないのかを確認しなければなりません。
 さらに、全ての薬を毎日きちんと飲んでいて家には残薬があまりないのに、1つの薬だけ30日分でその他の薬は60日分というのは変ですよね?こういった場合、前回の処方内容をコピーして処方しようとしたら1カ所だけ日数を変更し損なった、間違えた!ということが多いです。次受診するまでに薬が足りないと、患者さんは困ってしまいます。日数がおかしい、患者さんも知らないというときには確認しなければいけません。また、新薬や睡眠薬などを中心に、一部の薬では処方可能な日数が決められています。その日数を超えて処方された場合、処方した医師に日数制限があることを伝える必要があります。

⑤検査値
 病院では、処方箋に検査値が記載されることが多いです。腎機能やナトリウム、カリウム、カルシウムなど、値によっては量の調節が必要な薬がたくさんあります。検査値が基準値より高いまたは低い場合、その薬は使用できるのか、量は問題ないか等を考え、必要であれば処方した医師に疑義照会しなければなりません。

まとめ

 監査においては、今回紹介した確認事項以外にも、状況に応じて確認すべきことはいくつかあります。法律では、「薬剤師は処方箋に疑義(疑問、おかしな点)があれば、それを解消してからでなければ調剤してはならない」となっています。確認を怠るのは違反であり、疑義があれば患者さんのためにも問い合わせる必要があります。患者さんに薬が渡る前の最後の砦である監査は慎重に、責任をもってしなければならない業務であると知っていただけたら幸いです!

コメント

タイトルとURLをコピーしました